バレット食道

「胃カメラ検査をうけたらバレット食道と言われました。食道癌になりやすいときいたことがあるのですが」と、質問されることがあります。

「バレット食道 食道癌」で検索すると、食道癌になりやすく、定期検査が必要と記載されております。どのような関係があるのでしょうか。

  1. 1 バレット食道の定義と診断
  2. 2 バレット食道の分類
  3. 3 バレット食道の原因
  4. 4 バレット食道の頻度
  5. 5 バレット食道の発癌率
  6. 6 バレット食道の治療

1 バレット食道の定義と診断

バレット粘膜は、胃から食道に連続的にのびる円柱上皮化生(もともとの食道の扁平上皮から胃のような円柱上皮に置き換わったこと)のことであり、バレット粘膜を有する食道をバレット食道といいます。多くは、逆流性食道炎のために食道本来の扁平上皮が炎症と修復を繰り返し、刺激に強く酸環境に適した円柱上皮に置き換わった状態です。

内視鏡での診断は、白色の扁平上皮と、赤色調の円柱上皮の境界(squamocolumnar junction)が、柵状血管の下端より口側に認めることで、バレット食道と診断しております。

2 バレット食道の分類

バレット粘膜が全周性に3cm以上認めるものが Long segment Barrett esophagus (LSBE)

バレット食道

バレット食道が上記以下のものが short segment Barrett esophagus (SSBE)と定義されています。

バレット食道

3 バレット食道の原因

胃酸の食道への逆流のため、食道本来の扁平上皮が炎症と修復を繰り返し、刺激に強く酸環境に適した円柱上皮に置換された状態です。バレット食道のリスクには、びらんを伴う逆流性食道炎のオッズ比が4.44で、有意な発症リスクと報告されています。

4 バレット食道の頻度

バレット食道のうち、範囲が狭いSSBEは内視鏡をうける方の20%程度、範囲が広いLSBEは0.4%にみられると報告とされております。SSBEは多くの方にみられますが、LSBEはかなり頻度が低いです。

このバレット食道は、腺がんの発生母地となるという点で注目されております。欧米においては、バレット食道がんは急速に増加しております。米国では、バレット食道がんが扁平上皮がんを上回り、食道がんの70%程度までいたっております。

日本においても、食生活の欧米化、肥満の増加、ピロリ感染率の低下などから今後バレット食道がんの増加が懸念されております。日本食道学会の食道癌登録によれば、2011年の食道悪性腫瘍全体に占める腺癌の頻度は、4.0%でした。1988年の1.4%に比べると、2倍以上に増加しておりますが、2004年の報告でも4.0%であり、近年は横ばいの傾向で、現状急激な増加はみられておりません。

5 バレット食道の発癌率

バレット食道のうち、発癌のリスクが明らかになっているのは、腸上皮化生をもつ3cm以上のLSBEのみです。その発癌リスクは1年あたり0.4%と報告されています1),2)

SSBEとLSBEでは、発癌率にかなりの差があります。最新の報告3)では、バレット食道の発癌率は、LSBEで0.22%、SSBEで0.03%と報告されている。LSBEは、SSBEに比べると発癌率が高く、バレット粘膜の長さも癌化の危険因子の一つとされています。とくに高齢男性、喫煙、バレット食道の長さが長いことなどがバレット食道癌のリスクとされています。

胃食道逆流症診療ガイドライン2015改訂第二版 4)では、バレット食道から発生した腺癌の報告はありますが、頻度は極めて低く、現時点でバレット食道全例に内視鏡による経過観察が必要かは不明であるとされています。アメリカのガイドラインにおいて、異形成がなければ3-5年ごと、異形成が疑われれば1年ごとの生検を含めた内視鏡検査が推奨されています。

1)De Jonge PJ, et al. Gut 2010; 59:1030-6.
2)Sharma P et al. Clin Gastroenterol Hepatol 2006;4:566-72.
3)Heico P, et al. Gut 2016; 65:196-201.
4)日本消化器病学会(編).胃食道逆流症(GERD)診療ガイドライン2015.改訂第二版,南江堂,東京,2015;129-40.

6 バレット食道の治療

バレット食道の治療としては、バレット食道をこれ以上広げず、バレット食道癌を予防する治療になります。2004年に前向き研究によりPPIがバレット食道癌の発癌に抑制的に働くと報告されて以降、PPIの発癌抑制効果については議論が繰り広げられてきました。現在では、他施設前向き試験で発癌を最大0.2倍まで低下させ5)、メタ解析では発癌を71%抑制する6)など、PPIの発癌抑制効果はほぼ確実であると報告されています。

5)Kastelein F, et al. Clin Gastroenterol Hepatol 11; 382-388: 2013
6)Singh S, et al. Gut 63; 1229-1237: 2014

まとめ

バレット食道は、食道腺癌のリスク因子です。しかし、SSBEの発癌率は極めて低く、ガイドラインにおいても全例に対して定期検査は推奨されておらず最短でも3年間隔とされています。LSBEには、1年ごとの定期的な経過観察が必要です。GERD、バレット食道がある方は定期的なPPI内服をおすすめします。

登戸なかたに消化器・糖尿病内科
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