お腹の張りの症状
お腹が張っている状態、またはお腹が張ったように感じる状態を「膨満感」といいます。悪玉菌が腸内で増加してガスが発生することによって、膨満感を生じることがあります。また、空気を呑み込む「呑気症(どんきしょう)」によって起こっている可能性も考えられます。
「お腹が張って苦しい、痛い」「おならの出る回数が増えた」「下腹部だけぽっこりしている」など、症状は人によって異なります。
おなかの張りの原因
過敏性腸症候群
「腹痛を伴った便秘・下痢」「下痢と便秘を交互に繰り返す」などの便通異常が長期間続く疾患です。ストレスなどによって、腸のぜん動運動が悪くなることが原因だとされています。
排便があると、腹痛が改善されるという特徴も持っています。特に便秘型の過敏性腸症候群の場合は、お腹の張りも伴います。
呑気症
無意識に空気を呑み込むことによって、お腹が張ったりおなら・ゲップの回数が増えてしまったりする状態です。空気嚥下症(くうきえんげしょう)とも呼ばれています。現在の日本では8人に1人が、この呑気症に悩んでいると言われています。
大腸がん
早期の大腸がんの場合、発症しても自覚症状はほとんど現れません。しかし進行すると、大きくなった大腸がんによって便やガスの排出が邪魔されるようになるため、お腹が張りやすくなります。
便が通過しにくくなるため、急に便秘が進行することもあります。
腹水
腹腔内(お腹の中)に、水分が溜まってしまう状態です。水分の量が多いと、お腹が張りやすくなります。「腹膜炎などによって発生するケース」と、「心不全、肝硬変、腎不全などによって発生するケース」に分かれています。
前者の場合、お腹の中で炎症が起こることで血管内の成分が漏れ出るため、たんぱく成分を多く含んだ腹水が出ます。後者は血管内にある水分が血管の外へ流れた腹水ですので、たんぱく成分は少なめになります。
腸閉塞
何らかの理由によって腸管の内容物が詰まり、肛門側へ移動できなくなる疾患です。原因は多岐にわたり、主な症状としては、お腹の張り、便秘、腹痛、吐き気、嘔吐などが挙げられます。原因によっては、緊急手術が必要となることもあります。
腸の癒着からくる腸閉塞の場合、小腸が拡張することによって、内部に腸液が溜まるようになります。
腹腔内腫瘍
お腹の中に腫瘍が生じてしまう状態です。腫瘍のサイズが大きくなるにつれて、お腹の張りを感じるようになります。
腹部には臓器がたくさん集まっているため、腫瘍も生じやすくなります。腹部超音波(エコー)検査やCT検査、MRI検査などを行い、確定診断していきます。
消化器内科を受診して下さい
まずは原因を特定するため、おなかの張りがある方は、当院の消化器内科までご相談ください。原因となる疾患が判明できれば、その治療を行います。
便秘・過敏性腸症候群の治療
患者数が多い便秘・過敏性腸症候群の場合は、食事と水分、運動習慣の見直しだけではなく、腸内環境をよくするために整腸剤の処方や、場合によっては便秘薬も処方します。便秘薬の種類はたくさんあるため、患者様と話し合いながら、適したものを選択していきます。
また、近年では過敏性腸炎の治療薬も開発されているため、1度当院までご相談ください。
吞気症の治療
呑気症の場合は、まず容態を理解し、空気を飲み込むクセがあることを自覚すると、ある程度落ち着きます。また空気を呑む習慣や食習慣の改善(早食いを止める、ゆっくりよく噛んで食べるようにする)、ストレス解消などが重要です。また、症状が重い場合は、お酒や炭酸飲料などを控えましょう。
薬物療法ですが、比較的軽度の場合には消泡薬(胃の中の泡を取り除く薬剤)や、消化酵素薬(体内の消化酵素を補う薬剤)、消化管機能改善薬(消化管の蠕動運動を良くする薬剤)などを主に処方します。精神的なストレスなどが発症と絡んでいる場合は、漢方薬なども用います。
抗うつ薬や抗不安薬に関しては、心療内科など専門の病院に一度受診した上で、内服が必要か相談していただくことをおすすめしております。
大腸がんの検査
大腸がんは近年、患者数が増加傾向にあるため、注意する必要があります。確定診断する際は、大腸カメラを受けていただきます。自覚症状が現れている大腸がんにつきましては、比較的サイズが大きくなっているため、速やかに切除することを推奨します。
腹腔内腫瘍や腹水、腸閉塞の可能性がある場合は、腹部超音波(エコー)検査、腹部CT、腹部MRIが必須です。
腸閉塞は速やかに治療を受けなければならない疾患ですので、より高度な医療機関へご紹介させていただきます。
当院では、腹部超音波(エコー)検査、大腸カメラに対応しています。お近くの専門施設、画像専門の医療機関へ腹部CT、MRIなどの検査を受けていただけるよう、紹介することも可能です。