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胃ポリープの原因と切除(治療)について

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  • 会社の健康診断のバリウム検査で胃ポリープを指摘された

  • 胃カメラを受けて胃ポリープがあると言われた

 

 

 

胃ポリープはバリウムや検診の胃カメラ検査などで出会うことが多い病気です。

ポリープはとらなくていいのか、がんにならないのか心配される方がおられます。

 

今回胃ポリープの原因やがんになるのか、切除(治療)すべきかについて説明します。

 

 

院長 中谷行宏

消化器病専門医、内視鏡専門医として診療を行っております。

月200件以上の胃カメラ、大腸カメラ検査を行っています。

 

 

胃ポリープとは

 

 

 

胃ポリープは身近な病気ですが、どのような病気でしょうか。

ポリープは形の名前で、とにかく粘膜から盛り上がったものはすべてポリープと呼びます。

ポリープの中には腫瘍から腫瘍でないもの(炎症など)まで様々です。

 

胃ポリープは、一般的に良性の腫瘍ではない病変に対して用います。

がんをポリープとは呼びません。

 

胃ポリープの種類

 

胃ポリープには主に2種類あります。

 

 

胃底腺ポリープ

 

 

胃底腺ポリープは、組織学的には胃底腺組織の過形成、囊胞状拡張腺管を特徴とする非腫瘍性隆起性病変です。

ピロリ感染のない、胃炎や萎縮のない胃粘膜に発生することが多いです。

 

大きさは5mm以下の小さいものが多く、ときに1cmを超えるものもあります。

正常の粘膜が見えないぐらい多発する場合には、家族性大腸腺腫症の胃の病変の可能性があります。

 

色は胃粘膜と同じ色が多く、まれに発赤調です。

近年ピロリ菌の感染率が低下しており、胃底腺ポリープは増加しています。

 

検診を受けられた方のデータでは、2006年に3.6%でしたが、

2019年には11.2%の方に胃底腺ポリープがみられたと報告されています。

 

 

胃過形成性ポリープ

 

 

過形成とは、外来の刺激に対する反応で細胞増殖、細胞数の増加によるポリープです。

多くは、ピロリ菌の感染によって生じます。

 

胃過形成性ポリープは非腫瘍性病変であり、基本的には経過観察されます。

表面にびらんを伴う発赤調のポリープです。

頻度は2~4%と低いですが、癌を合併することがあります。

ポリープが大きいほどがんの割合が増加し、20mm以上では8%と報告されています。

 

 

胃ポリープの原因と食事について

 

 

「胃ポリープと食べ物や飲み物の関連はありますか」

と聞かれることがあります。

 

基本的に胃ポリープは食生活、コーヒーなどの飲み物が原因となることはありません。

 

胃底腺ポリープは、胃薬、プロトンポンプ阻害薬(proton pump inhibitor ; PPI)を長期に飲んでいると、新たに胃底腺ポリープが発生したり、大きくなることがあります。

胃過形成性ポリープはピロリ菌の感染によって発生します。

 

胃ポリープの症状

 

 

胃ポリープがあっても症状がでることはありません。

数が多くても大丈夫です。

胃の不快感や食欲不振などの消化器症状があれば、別の病気が隠れている可能性があります。

気になる症状があれば医療機関を受診してください。

 

最近、抗凝固薬や抗血小板薬などの血液をさらさらにする薬剤を服用する方が増えました。

まれではありますが、過形成性ポリープからの出血により貧血になる方がおられます。

 

 

胃ポリープは切除する必要はない

 

 

 

  • 「胃ポリープは切除する必要がありますか?」

  • 「胃のポリープをとってもらったことがあります。」

 

など質問されることがあります。

 

胃のポリープは基本的に切除する必要がありません。

 

理由の1つ目は、胃ポリープは腫瘍ではなく、大きくなってがんになることがないためです。

2つ目の理由は、切除したあとの出血率がとても高いことです。

 

早期胃がんに対して内視鏡で切除を行った場合、約5%の方が内視鏡で止血の処置が必要となります。

胃の血流が豊富なことが原因です。

 

胃ポリープ切除は大腸ポリープの切除と比べると何十倍も出血率が高いです。

悪性になることがなく、切除すると出血率が高い、このため切除する必要性はほぼありません。

 

 

胃ポリープががんになることはあるのか

 

 

 

過形成性ポリープは、大きくなるとがんが合併することがまれにあります。

しかし、胃ポリープのほとんどを占める胃底腺ポリープががんになることはありません。

 

胃底腺ポリープはピロリ感染がなく、胃粘膜萎縮や炎症細胞浸潤がない粘膜から発生します。

 

胃癌と全く異なる背景胃粘膜を有するため、胃癌発生は低リスクと考えられています。

胃ポリープがあると、胃がんになりにくいということです。

 

胃ポリープの切除(治療)について

 

 

 

基本的に胃ポリープを切除(治療)する必要はありません

20mm以上の過形成ポリープに関してはがんを合併する可能性があります。

一部にがんを疑う所見があれば、その部分を狙って組織検査を行います。

 

がんの合併している可能性がある、あるいは貧血の原因となっている過形成性ポリープの切除を行うことがあります。

胃ポリープを切除は、胃がんの内視鏡治療と同様に、20人に1人、おおよそ5%に後出血が起こります。

入院での治療になります。

大腸ポリープのように外来での検査の際に胃ポリープを切除することはありません。

 

過形成性ポリープの治療は、切除以外にも方法があります。

ピロリ菌を除菌するとポリープが消失したり、小さくなることがあります。

まずはピロリ菌の治療をして経過をみることも多いです。

 

まとめ

 

胃ポリープは基本的に治療の必要のないものがほとんどです。

過度に心配する必要性はありませんが、一度は説明も受けられる医療機関で胃カメラ検査をおすすめします。

 

当院では、鎮静剤を使って苦痛なく、胃カメラ検査を受けることができます。

胃ポリープに関して気になる方は、気軽に相談していただけると幸いです

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