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胃カメラ検査が不安な方へ 鎮静剤のメリット、デメリット

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  • 胃カメラ検査って鎮静剤使ったほうが楽かな?

  • 前の検査のときは鎮静剤効かなかったんだよな。

  • 副作用が心配。全身麻酔と違うの?

 

 

 

こんな悩みを解決できる記事を書きました。

本記事では、胃カメラ検査を受けるときの鎮静剤のメリット、デメリットや

全身麻酔との違い含めて詳しく説明します。

 

院長 中谷行宏

私は、消化器病専門医、内視鏡専門医として月200件以上の胃カメラ、大腸カメラ検査を行っています。

胃カメラで使用する鎮静剤の効果と種類

  

胃カメラに使用する鎮静剤

 

鎮静剤とは、中枢神経系に働きかけて催眠、眠くなる作用がある薬です。

眠くなるだけでなく、大人しくなる鎮静作用、不安を抑える抗不安作用、

記憶がなくなる健忘作用もあることが多いです。

 

胃カメラ検査における鎮静剤は、不快感・不安の軽減、患者満足度の改善し、

再検査の希望率が高いことが報告されています。1)-3).

 

鎮静剤1 ドルミカム

 

ベンゾジアゼピン系の薬剤の一つです。

ベンゾジアゼピン系には、ジアゼパム(セルシン)、ミダゾラム(ドルミカム)、

フルニトラゼパム(サイレース)などがあります。

 

鎮静剤のガイドラインでは胃カメラでは、

ドルミカムの使用が推奨されています。

一般的に使用されることが多い薬剤です。

 

ただ、薬が効きにくい方が残念ながらいます。

さらには効きすぎてふらつきが残る方もいることが難点です。

 

鎮静剤2 プロポフォール

 

全身麻酔や、人工呼吸器の際にしっかりと眠らせるときに使用されることが多い薬剤です。

鎮静効果の持続時間が非常に短いため、検査終了してすぐ目覚めることができ、

切れる時間が早いため、安全性も高いです。

 

ドルミカムで眠れなかった方でもプロポフォールでは、

ほとんどの方が眠って検査を受けることができます。

デメリットとしては、注射のときに血管の痛みがでることがあります。

胃カメラ検査の保険適応はありません。使用してはいけないということではありません。

 

使用しても料金が請求できず、クリニックの自腹になります。

患者さんが楽に検査をうけてもらえる可能性高いため、

当院では、このプロポフォールをメインに使用しております。

 

胃カメラ検査で鎮静剤を使用するメリットとデメリット

 

 

胃カメラ検査で鎮静剤を使用するメリットとデメリットについて説明します。

 

メリット①胃カメラ検査の不安、痛みが軽くなる

 

胃カメラが喉を通るときに喉の前方や下の付け根あたりを刺激し、

「オエッ」となる「嘔吐反射」が誘発されます。

反射は強いかたは、検査の間ずっとつらいことがあります。

若い方が比較的反射が強い方が多いです。

 

鎮静剤には抗不安、鎮静作用があるため、検査の不安、痛みが軽くなります。

 

メリット②検査の質が向上する

 

喉の反射が抑えられるため、胃に十分な空気をいれることができ、

十分に胃を広げ隅々まで観察することができます。

眠っている状態であれば、医師に余裕が生まれます。

 

検査を行う医師の安心感、余裕に繋がり診断の質の向上、治療が行いやすくなります。

 

デメリット①検査後に休む必要がある

 

検査が終わってすぐに鎮静剤の効果がきれないので、しばらく休んでいただいております。一般的には30分から1時間程度休む必要があり、帰宅までの時間がかかります。

 

デメリット②乗り物の運転や仕事に支障がある

 

検査が終了してしっかり休んで意識、ふらつきが改善しても

判断力が低下している可能性があります。

車の運転はとっさの判断が必要なため、避けてください。

眠気や集中力が低下することがあり、重大な判断は避けるようにしてください。

 

デメリット③検査中の記憶がないことがある

 

鎮静剤を使用すると眠った状態となるため、検査中の記憶がないという方もいらっしゃいます。

少し前の記憶も忘れることがあり、「検査を受けていない!」とおっしゃられる方もいます。

十分に休んでいただいてから検査結果の説明を行っております。

 

鎮静剤の副作用と全身麻酔との違い

 

鎮静剤の副作用

 

鎮静剤の副作用としては、過剰投与による過鎮静、眠気が続くことがあります。

その日の体調や寝不足の状態で検査を受けると鎮静剤が効きすぎることがあります。

吐き気、嘔吐が起こることがあります。

 

 

全身麻酔との違い

 

「胃カメラは全身麻酔ですか?」と質問されることがあります。

全身麻酔とは、開腹手術などに際に呼吸を止める麻酔のことです。

胃カメラでの鎮静剤は、寝てはいますが、自発呼吸はしている状態にしています。

 

のどの麻酔

 

口から、鼻からどちらも使用されることが多いのが、表面麻酔いわゆるのどの麻酔です。

麻酔の中では、局所麻酔に分類されるます。

歯医者での麻酔と同じキシロカインを使用することが多いです。

 

キシロカインのアレルギーの方や、喉がしまる感じがどうしても苦手な方には

当院では静脈麻酔のプロポフォールのみで安全に検査が可能です。

 

胃カメラは医師の腕によって苦しさが違う?

まれな病気、小さな病気を見つけられるかは医師の技術、知識によって差がでます。

しかし、患者さんの辛さにそれほど大きな差はでないと思います。

胃カメラの細さや、眠たくなる薬を使えば明らかに変わります。

医師の腕ではなく、患者さんに楽になるように十分な体制を整えているかによります。

 

まとめ

 

鎮静剤なしでも平然と検査を受けることができる方もおられますが、

反射が強い方にとって胃カメラはつらい検査となることがあります。

「胃カメラ検査が苦しいかどうか」これは本人の喉の反射がどれくらい強いかによるところが大きいです。

 

医師に一定以上の技量があれば、カメラの太さ、鎮静剤の種類、量が

胃カメラがつらいかどうかの主な要因です。

 

鎮静剤を人によって調整して必要十分な量を使用してくれる医療機関で検査を受けてください。

胃がんや食道がんは定期的な検査で早期発見、予防することができます。

苦しくない胃カメラ検査を受けられる病院、クリニックで検査をおすすめします。

 

1)McQuaid KR, Laine L.  A systematic review and me‑ta-analysis of randomized, controlled trials of moderate sedation for routine endoscopic procedures. Gastrointest Endosc 2008;67:910-23.

2) Cohen LB et al.  Sedation in digestive endoscopy : the Athens international position 1662 

3) Cohen LB et al. AGA Institute review of endoscopic sedation.  Gastroenterology 2007;133:675-701.

 

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