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胃がんになりやすい危険因子について

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  • どんな人が胃がんになりやすいの?

  • 胃がんにならないようにするにはどうすればいいの?

 

 

このような疑問にお答えする記事を書きました。

 

院長 中谷行宏

私は、内視鏡専門医として月200件以上の胃カメラ、大腸カメラ検査を行っています。

消化器病専門医として、おなかの症状の方の診療を日々行っております。

 

胃がんは、がんの中で第3位、比較的頻度が高い病気です。

胃がんの危険因子を知ることで予防や早期発見に役立てることができます。

 

今回は、胃がんの主な危険因子について、わかりやすく説明します。

 

 

ヘリコバクター・ピロリ菌

 

胃がんの大きな原因の一つは、ヘリコバクター・ピロリ菌(H. pylori)という細菌です。

 

この細菌は、胃の内側に長期間住みつくことで、

胃の炎症や潰瘍を引き起こし、最終的にがんにつながることがあります。

慢性胃炎から慢性萎縮性胃炎、腸上皮化生、異形成、

そして最終的に胃がんへの進行することが証明されています。

 

ピロリ菌の感染は、血液検査や呼気検査で簡単に確認でき、除菌治療も可能です。

胃がんの99%はピロリ菌の感染歴がある方と報告されており、

ピロリ菌は胃がんの最も重要な危険因子です。

 

加工肉の摂取

 

食生活も胃がんのリスクに大きく影響します。

揚げ物、加工肉、過度のアルコール摂取は、

いくつかの研究で胃がんのリスクと関連しています。

 

逆に、新鮮な野菜や果物を多く摂ることで、リスクを減らすことができます。

食事のバランスを考えることが重要です。

 

加工肉(ソーセージ、ハムなど)を1日30g以上摂取する

と胃がんが増加するという報告されています。[1]

 

 

喫煙

 

 

喫煙は多くのがんの原因となりますが、胃がんも例外ではありません。

約1.53倍にリスクが増加し、男性の方が高かったと推定されています。

禁煙を心がけることが、予防の一歩です。

 

塩分摂取

 

塩分および高塩分食品の摂取量と胃がんリスクとの間には関連があります。

また、塩分とピロリ菌の潜在的な相乗効果も報告されています。

塩分を多く摂取すると、胃粘膜が損傷し、発がん性が高まります。

 

遺伝的要因

 

家族に胃がんの人がいる場合、遺伝的にリスクが高まることがあります。

特に、親や兄弟姉妹が胃がんにかかったことがある人は、

定期的な検診を受けることが推奨されます。

遺伝性の胃がんは遺伝性びまん性胃がんが有名です。

常染色体優性遺伝で、海外では比較的多くみられますが、日本では非常にまれです。

 

 

年齢と性別

 

 

胃がんのリスクは年齢とともに高まります。

男性は女性よりもリスクが高いことが知られています。

40歳を過ぎたら、特に注意が必要です。

 

肥満

 

過剰な体重は胃がんのリスクと関連しています。

メタアナリシスでは、過剰な体重は胃がんのリスク増加と関連していた

と報告されています(オッズ比1.22)[2]。

 

予防と早期発見のために

 

 

胃がんを予防し、早期に発見するためには、以下の点に注意することが重要です

 

 

 

  • 定期的な検診:特にピロリ菌の検査や胃カメラ検査を定期的に受けることで、早期発見が可能になります。特に両親や兄弟にピロリ菌がいた方はご自身にもピロリ菌がいる可能性があります。

     

  • ピロリ菌の除菌ピロリ菌がいる方が除菌を行うことで、胃がんの発生率が1/2-1/3程度に低下することが報告されています。

     

  • 健康的な食生活:塩分の摂取を控え、バランスの取れた食事を心がけましょう。

     

  • 禁煙と適度な飲酒:喫煙をやめ、飲酒量を適度に抑えることでリスクを減らせます。

     

  • 果物、野菜、食物繊維を摂取する:果物や野菜の摂取はおそらく胃がんを予防するとされています。果物のほうがリスクを下げる効果があり、相対的なリスクが0.9と報告されています[3]。

    果物、野菜による保護作用は、ビタミンC含有量に関連しているのではないかといわれています。

 

 

 

まとめ

 

胃がんは予防と早期発見が非常に重要です。

危険因子を理解し、生活習慣を見直すことで予防に努めることができます。

また、定期的な検診を受けることで、早期発見が可能となり、

治療の成功率も高まります。

 

皆さんも日常生活で健康に気をつけ、

定期的な検診を受けることを心がけてください。

 

1 Bouvard など Lancet oncology 2015;16:1599

2 Yang P など Eur J Cancer 2009;45:2867

3 La Vecchia C など Int J Cancer 1987;40:484

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