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スキルス胃がんはよくないと聞いたことがあるけどどんながんなの?
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どんな症状がでやすいの?
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どんな人がなりやすいの?
このような疑問にお答えする記事を書きました。
スキルス胃がんの症状、原因となりやすい人、
具体的にならないようにするにはどうすればいいかについてお伝えします。
スキルス胃がんとは
スキルス胃がんは、著明な潰瘍や、盛り上がりがなく、
胃の壁が厚くなり、固くなることを特徴とした癌です。
病気と正常な部分との境界が不明瞭です。
びまん浸潤型の4型に分類されています。
がん細胞が少なく、線維化が特徴的です。
他の肉眼型と比較し、転移しやすく、
腹膜播種(腹膜への転移)やリンパ節転移が多いとされています。
現在、胃がん全体の5年生存率は70%を超えています。
しかし、スキルス胃がんの5年生存率は10%以下といまだに予後不良です。
スキルス胃がんの症状
スキルス胃がんの症状は食欲不振、体重減少、上腹部痛などの症状が多いです。
一般的な胃がんの症状と基本的にかわりません。
なかには「胃が広がらない感じ」という特徴的な症状を訴える方もおられます。
スキルス胃がんの原因
一般的な胃がんはピロリ菌がほとんどの原因です。
胃がんのおよそ99%はピロリ菌が関与しているとされています。
スキルス胃がんは通常の胃がんと違い、原因不明との記事を目にします。
実は、スキルス胃がんも主にピロリ菌が原因で起こります。
バリウム検査で発見されたスキルス胃がんの特徴について報告されています。
それによると、ピロリ感染は,以前はすべて現感染でしたが、
近年では現感染42例、未感染 2例、除菌後4例であったと報告されています1)。
ピロリ菌の除菌が進み、除菌後の症例が増えておりますが、
近年でも48例のうち46例ほとんどが、ピロリ感染が原因です。
1)入口ら, スキルス胃癌のX線診断 胃と腸 55(6):779-793, 2020
スキルス胃がんになりやすい人とは
スキルス胃がんになりやすい人は、ピロリ菌に感染している人、感染したことがある人です。
胃潰瘍、十二指腸潰瘍の既往がある人もピロリ感染の可能性が高く、リスクが高いです。
特にスキルス胃がんは比較的若い女性に多くみられます。
若い方に多い、鳥肌胃炎との関連性が指摘されています。
スキルス胃がんの検査
スキルス胃がんは、がん細胞が粘膜下層より深く
びまん性に浸潤することで胃が固くなります。
完成したスキルス胃がんは伸展不良、ひだの肥厚が特徴です。
以前はバリウム検査のほうがスキルス胃がんはわかりやすいという見解もありました。
バリウム検査は、胃壁の伸展不良(広がらないこと)が評価しやすいためです。
熟練した内視鏡医であれば、進行したスキルス胃がん、
スキルス胃がんのもととなる初期の未分化型がんどちらも発見することができます。
スキルス胃がんの検査は胃カメラ検査がよいです。
それだけでなく、豊富な経験がある内視鏡医に検査をしてもらうことをおすすめします。
スキルス胃がんの早期発見の重要性
スキルス胃がんのもとは小さな陥凹した未分化型がんです。
これが粘膜下層に浸潤し、粘膜病変から典型的なスキルス胃癌になるとされています。
早期胃がんからスキルス胃癌になるまで少なくとも2-3年かかるとされています。
スキルス胃がんのもとは小さな未分化型がんです。
大きくなると対処が難しいスキルス胃がんも、
2cm以内の早期がんの段階で見つかれば内視鏡で治療が可能です。
また、たとえ手術が必要になっても、
スキルス胃がんに進展する前に治療ができれば完治する可能性が高まります。
スキルス胃がんを予防するには
スキルス胃がんを過度に怖がる必要性はありません。
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ピロリ菌の検査を受ける
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ピロリ菌を除菌する
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定期的に胃カメラ検査を受ける
これでスキルス胃がんを予防し、完治する可能性が高い状態で早期発見することができます。
特に女性の方はリスクが高く、若いうちに一度胃カメラ検査をおすすめします。
院長 中谷行宏
消化器病専門医、内視鏡専門医として診療を行っています。
月200件以上の胃カメラ、大腸カメラ検査を行っています。