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ピロリ菌の検査について解説

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検診の採血検査でひっかかった

胃カメラで胃炎、ピロリ菌がいると言われた

親がピロリ菌がいたから気になった

 

上記のような理由で受診されることがいらっしゃいます。

今回はピロリ菌の特に検査についてお伝えします。

 

 

院長 中谷行宏

消化器病専門医、内視鏡専門医として診療を行っております。


月200件以上の胃カメラ、大腸カメラ検査を行っています。

 

 

 

ピロリ菌とは

 

まずピロリ菌について説明します。

ピロリ菌は酸が強い胃の中でもウレアーゼという酵素を作り出すことにより、

周囲の酸を中和し、生息することができます。
幼年期に衛生環境が良くなかった年代の方に感染している人が多いです。

 

現在は、家族間、特に父母からの感染が多いと報告されております。

中学生までに感染し、大人になって感染していなければ今後新たに感染することはありません。

 

ピロリ感染が感染すると胃の粘膜に炎症細胞が浸潤します。

慢性的になると、固有胃腺の萎縮や腸上皮化生などを認めます。

 

胃カメラでは、萎縮、腸上皮化生、びまん性発赤、RACの消失、

粘膜腫脹、鳥肌粘膜、過形成性ポリープ、白濁粘液などの所見がみられます。

 

 

胃カメラでのピロリ菌の検査方法

一般的に行われることが多いピロリ菌の検査方法について説明します。

胃カメラでのピロリ菌の検査である診断法は下記の3つがあります。

一般的に行われるのは迅速ウレアーゼ法です。

 

 

  • 迅速ウレアーゼ試験

  • 鏡検法

  • 培養法

 

それぞれについて解説したいと思います。

 

 

迅速ウレアーゼ法

ピロリ菌が持つウレアーゼという酵素を用いてピロリ菌の診断をする方法です。

胃カメラで組織生検を行い、ウレアーゼによって作り出されるアンモニアによる反応を調べる検査です。

pHの色調変化をみてピロリ菌の有無が分かります。

 

迅速に結果がでることと特異度が高いことが特徴です。

ただ、偽陰性つまりピロリ菌がいるのに陰性になる可能性があります。

 

 

鏡検法

胃カメラで採取した組織を顕微鏡で直接診断する方法です。採取した胃の組織に色を染色して見やすくしますが、一般的にはHE染色・ギムザ染色という染色方法で診断することが多いです。

 

 

培養法

胃カメラで採取した胃の組織を培養してピロリ菌の有無を確認する検査です。

採取した組織を培地というものを用いて37℃で培養させます。

1週間ほどの期間を必要とし、診断まで時間がかかります。

 

 

胃カメラを使わないピロリ菌の検査方法

 

 

胃カメラを用いないピロリ菌検査法は以下のものがあります

 

  • 尿素呼気試験

  • 血中抗ピロリ抗体検査

  • 便中ピロリ抗原検査

 

それぞれについて解説したいと思います。

 

尿素呼気試験(UBT)

尿素呼気試験は、ピロリ菌が有するウレアーゼ活性を利用した検査方法です。

プロトンポンプ阻害薬(PPI)やボノプラザン(タケキャブ®)というお薬を内服している場合には、2週間薬を中止する必要があります。

息を吐く安全に行うことが出来る検査で、感染の診断、除菌判定にも使用することができます。

 

 

血中抗ピロリ抗体検査

血液中のピロリ抗体を調べることで、ピロリ菌の感染の有無を判定する検査方法です。

血液、尿で検査可能ですが、一般的に血液で検査が行われています。

簡便で、多くの方が検査を受けることができます。

 

測定したピロリ抗体の値がある一定以上の場合にピロリ菌の感染の可能性が高いと診断されます。

 

①抗体価が3未満の場合    陰性 ピロリ菌に感染している可能性が低い
②抗体価が3以上10未満の場合 陰性高値 ピロリ菌に感染している可能性がある
③抗体価が10以上の場合    陽性 ピロリ菌の感染の可能性が高い

 

 

血中抗ピロリ抗体検査陰性高値の問題点

陰性か陽性と判定されるとよいのですが、陰性高値に判定される場合が問題です。

ふつうの方は陰性高値って何?陰性なの?とよくわからないと思います。

 

陰性高値のなかにおよそ20%ピロリ菌陽性の方がいるとされています。

検診センターでは、1/6程度の方が陰性高値の結果との報告があります。

除菌後の方も陰性高値になることも多く、他の検査と併用して判断する必要があります。

 

 

便中ピロリ抗原検査

胃から消化管を経由して排泄されるピロリ菌由来の抗原を測定するものです。

感度、特異度ともに高く、除菌判定にも使うことができます。

侵襲も無くプロトンポンプ阻害薬(PPI)やボノプラザン(タケキャブ®)の

影響も受けることが少ないとされています。

 

ただ医療機関を受診、自宅で便を採取して、検査をするという手間もあり、

一般的に行われているわけではありません。

 

ピロリ菌検査の費用

 

 

それぞれのピロリ菌の検査の費用について以下にまとめました。

今回3割負担での費用を提示しています。

 

胃カメラ検査の際に行う迅速ウレアーゼ法、鏡検法、培養法について、

ピロリ菌の検査料のみを提示しております。

胃カメラ検査の料金は含んでおりません。


 

 

ピロリ菌の検査には、様々な方法があり、費用も違います。

ただ、それほど高額な検査ではありません。

 

ピロリ菌の検査は何度も行う必要はなく、検査の精度が高いこと重要です。

ピロリ菌が実はいるのに陰性と診断され胃がんの発見が遅れることは避けなければなりません。

 

尿素呼気試験の方法・流れ

 

 

検査は原則、空腹時で検査します。

検査前までの8時間以上、食事をとらないでください。

 

 

 

  1. 普段通りの呼吸をし、息を吸った状態で10秒間止めます。

  2. 専用パックに呼気を吹き込みます。

  3. 検査薬(ユービット錠100mg)を服用します。

  4. 左側を下にして、5分間横になります。

  5. その後、15分間座って待ちます。

  6. もう一度、専用パックに呼気を吹き込みます。

 

 

 

 

尿素呼気試験の特徴

 

 

 

  • 精度(感度、特異度)ともに高い

  • 除菌前、除菌後ともに使える

  • 身体の負担がない

  • 当日結果がでる

 

 

ピロリ菌の検査のうち、当院でおすすめしているのは尿素呼気試験です。

精度が高く、他の検査法の欠点をほぼすべてカバーしているからです。

身体への負担もありません。

 

当院では院内に検査機器を設置しておりますので、

検査当日に結果を説明し、直ちに治療を開始できます。

 

胃カメラ検査を受ける方に、ピロリ菌の検査歴、検査の希望もお聞きしております。

ピロリ感染が疑われる方には積極的に検査を行っております。

 

まとめ

 

ピロリ菌は胃がんの主な原因です。

若いうちにピロリ菌の有無を検査しておくことはとても重要です。

ただ、保険適応でピロリ菌の検査を行うには胃カメラ検査が必要です。

どうしても胃カメラがやりたくない方には、自費で尿素呼気試験を行う場合もございます。

ピロリ菌に関して気になる方は、気軽に相談していただけると幸いです。

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