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下剤が苦手な方に「下剤を飲まない大腸検査」とは

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  • 下剤を飲まない大腸検査はどんな検査?

  • 身体への負担は大きいの?

  • どんな人におすすめ?

 

 

 

こんな悩みを解決できる記事を書きました。

院長 中谷行宏

消化器病専門医、内視鏡専門医として診療を行っております。
月200件以上の胃カメラ、大腸カメラ検査を行っております。

 

現在大腸内視鏡検査の下剤として最も使用されているのはモビプレップです。

スポーツドリンクをやや濃くした梅のような味で、飲めないわけではないですが、美味しくはありません。

冷やして飲むなどの対策はありますが、苦手な方もいらっしゃいます。

途中からどうしても飲めなくなる方がおられます。

 

今回胃カメラで下剤をいれる下剤を飲まない大腸検査の流れ、メリット、デメリット、

おすすめの方についても説明します。

 

  • 前日1日食事制限を守る

  • 夕食後は絶食で、夜に内服の下剤をのむ

  • 当日朝食事を食べずに来院

  • 胃カメラ検査を受ける

  • 胃カメラで十二指腸、胃に下剤を入れる

  • 院内で大腸がきれいになるまでトイレにいく

  • 検査着に着替える

  • 検査台の横になる

  • 大腸検査を受ける

 

下剤を飲まない大腸検査の流れは上記に示した通りです。

通常とは違う「胃カメラで十二指腸、胃に下剤を入れる」について説明します。

 

 

胃カメラで十二指腸、胃に下剤を入れる

まず、十二指腸に下剤を注入します。

蠕動によって液体が流れていくため、すべての下剤が一気に流れず、胃にもどってきます。

追加での中にも下剤をいれて検査を終了します。

 

胃、十二指腸に嘔吐、誤嚥のリスクを考え、注入できる量が1500ml程度までとしております。

 

 

下剤を飲まない大腸検査の特徴

モビプレップ、マグコロール、サルプレップ、ビジクリア、ピコプレップ、ニフレック。

現在発売されている大腸内視鏡検査の前処置に使う下剤になります。

当日朝に飲むことが多いです。

 

下剤を飲まないというとまったく身体に摂取しないと想像される方がおられます。

 

残念ながら今のところ身体の中に下剤を入れずに大腸はきれいになりません。

下剤が気持ち悪く感じて飲めない方への現状での打開策が、下剤を飲まない大腸検査です。

 

検査時間 胃カメラ:10分程度です。大腸カメラ:15分程度です。

胃カメラ検査の時間は通常の観察に加えて、下剤を注入するため若干長めの時間がかかります。

 

料金 胃カメラ検査と大腸カメラ検査の料金を足した料金です。

生検やポリープ切除などを行うと料金が高めになります。

 

下剤を飲まない大腸検査のメリット

メリット1:下剤を飲まなくていい

最大のメリットは下剤を飲まなくていいということです。

下剤を口から飲むことがないため、「まずい」と感じる下剤の味がしません。

 

下剤を飲んで気持ち悪くなっていた方が、今回はとても楽だったとおっしゃられます。

吐き気は成分によるアレルギーの症状ではなく、味による症状なのでしょう。

 

 

メリット2:下剤による前処置が完了するまでの時間が減る

下剤が直接十二指腸に送り込まれるため、排便に要する時間が減ります。

通常は2~4時間かかる前処置が1~2時間程度まで減ることができ、準備にかかる時間を減らすことができます。

時間的な負担も減らすことができる検査方法です。

 

 

メリット3:胃カメラ検査のついでに大腸カメラ検査を受けられる

胃カメラ検査を受けた日に大腸カメラも受けることができ、検査が1日ですみます。

これは、胃カメラ大腸カメラ同時検査と同じメリットです。

 

下剤を飲まない大腸カメラ検査のデメリット

 

デメリット1:胃カメラ検査を受ける必要がある

下剤を飲まない代わりに胃カメラで下剤を注入するため、どうしても胃カメラ検査を受ける必要があります。

 

デメリット2:水は飲まないといけない

下剤は種類によって同時に水を飲まないといけません。

モビプレップであれば、内服した量の半分の水を飲まないといけません。

通常1,500ml下剤を注入するため、750ml程度の水は飲んでいただいております。

 

 

デメリット3:短時間に下剤を多めに摂取することになる

通常胃、十二指腸に下剤1,000ml~1,500ml程度注入します。

当院ではモビプレップを注入しております。

 

1時間に内服する程度の量を注入しているため、頻回にトイレにいくことになります。

ご高齢の方には身体の負担になる可能性があります。

 

 

デメリット4:追加で下剤を内服することがある

下剤は、胃や十二指腸の形態や下剤の流れ具合によって1,000ml~1,500ml程度注入します。

誤嚥のリスクを考慮し、当院では1,500mlまでとしております。

下剤の流れ具合、胃の形、大きさによって注入できる量が少ない方もおられます。

 

約8~9割の方は、下剤をまったくのまずに大腸検査が可能です。

通常は、排便の状態で追加に下剤を内服し、便がきれいになれば内服終了となります。

 

人によっては下剤を1,500ml以上内服しないと便ができないにならない方がいらっしゃいます。

どうしても1~2割ぐらいの方はコップ1、2杯程度下剤を内服する必要があります。

 

下剤をのまない大腸検査がおすすめの人、おすすめしない人

おすすめの人

以前検査して下剤をのむのがとてもつらかった人

一番のおすすめの方は、下剤が苦手なことがすでにわかっている方です。

味が苦手で途中から飲めなくて検査ができなかった方、なんとか飲めたけどとてもつらかった方です。

 

液体の下剤をのめそうにない方

普段から液体をたくさん飲むのが苦手な方もいらっしゃいます。

味の問題ではないようです。

錠剤の下剤も苦手であれば、下剤を飲まない大腸検査をおすすめします。

 

おすすめしない人

 

 

下剤を飲む体力がない人

ご高齢で、味は大丈夫だけど、飲む体力がないからとご相談いただくことがあります。

頻回にトイレに行くことなど体力的な問題を解決してくれる検査ではありません。

体力的な不安がある方は、下剤をできるだけ時間をかけて飲むか、

精度は落ちますが、CT検査など身体の負担の少ない検査を提案しております。

 

まとめ

 

 

下剤を飲むのが苦手な方は下剤を飲まない大腸検査をおすすめします。

下剤を飲まない大腸検査は皆様におすすめの検査ではありません。

 

大腸検査のデメリットのうち、解決しているのは下剤の味のまずさだけです。

しかし下剤のまずさを解決するだけで、とても楽な検査だったと言ってくださる方がいらっしゃいます。

前回下剤がまずくて、大腸検査うけるか迷っている人は下剤を飲まない大腸検査をおすすめします。

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