血便(下部消化管出血)とは

急に便意があってトイレに行くと、便器が真っ赤だった。「どうしよう。がんかもしれない。きっと痔だとおもんだけど…」と不安になりますね。多くの方が大腸がんを心配されます。血便の原因として頻度が高い病気、必要な検査はどんなものでしょうか。

1 下部消化管出血の疫学

大腸からの赤い血液、血便、医学的には下部消化管出血の原因には様々なものがあります。論文では、多量の出血、少量の出血いずれも含んでおります。軽い出血の方は、病院に受診しない方もおり、実際より低く見積もられています。下部消化管出血は、胃からの出血とは違い、止血処置は必要とせず、自然に止まる傾向があります。

血便

こちらは New England journal of medicineという臨床でもっとも有名な雑誌の報告です。海外の報告ではありますが、下部消化管出血の原因は、憩室出血が30-65%と最多です1)。日本の報告でも、憩室出血が最多で割合は46%、虚血性腸炎が19%と報告されており、海外と日本で原因の割合はほぼ同様と考えられています2)。みなさんが心配される大腸がんによるものは5%程度です。

1) Ian M Gralnek et al. Acute Lower Gastrointestinal Bleeding.N Engl J Med. 2017 Mar 16;376(11):1054-1063
2) Aoki T et al. Clin Gastroenterol Hepatol. 2016 Nov;14(11):1562-1570

2 下部消化管出血をきたす疾患と臨床的な特徴

下部消化管出血をきたす疾患の臨床的な特徴についておつたえします。

2-1 大腸憩室出血

憩室とは、胃腸などの管腔臓器にみられる限局性の腔拡張のことで、内視鏡で腸の内側からみると外側に風船の様に突出している状態です。このうち、大腸にできるのが大腸憩室で、大部分が無症状ですが、憩室内腔の便の貯留、貯留によって憩室炎を起こしたり、憩室炎による血管が破綻することで大腸憩室出血を起こすことがあります。憩室出血のリスク因子としては、NSAIDs、抗血栓薬などが指摘されています。出血が多い場合には、内視鏡での止血処置や、カテーテルでの動脈塞栓術を行う場合があります。大腸憩室出血が自然に止まる割合は70-90%程度と高いのですが、退院後に再度出血する割合は高く、1年で20%、2年で33%と繰り返すことが多いと報告されています3)

血便

3) Niikura R et al. Colorectal Dis 14: 302-305, 2012

2-2 虚血性大腸炎

「便がなかなかでなくて、トイレで息んで、冷や汗がでるぐらいおなかが痛かった。その後痛みは少しよくなったが、トイレに行ったら下痢と、その後に血がでてきた。」

多くの方がこのような経過で受診されます。高血圧や便秘などの基礎疾患がある中年から高齢の方に多く、大腸の虚血により潰瘍ができ、出血をきたします。多くが一時的で自然に改善しますが、腹痛が強い方は入院する場合もあります。上記のような症状で受診された方は、ほぼ虚血性大腸炎で間違いないと思われます。内視鏡検査では、縦走潰瘍を認め、発赤や浮腫を伴う場合があります。腹痛がある際に内視鏡検査を行うと、ふだんより痛みが強いときがあり、内視鏡検査は症状が改善してからのほうがよいかもしれません。

血便

2-3 痔

軽い血便の原因として多いものは、やはり痔です。トイレにいった際に便と混ざっていない鮮血(真っ赤な血)がでた場合は、痔からの出血の可能性が高いです。便秘などのいきみや腹圧などの刺激、長時間座りっぱなしなど、肛門部分の血管の一部がうっ血し、こぶのように腫れた状態です。生活習慣の改善、軟膏などの保存的治療で軽快することが大部分で、手術を必要とするのは10%以下と言われています。

2-3 大腸がん

大腸の出口に近い部分にがんができた場合には血便の症状がでる可能性があります。ただ早期のがんでは多くの場合無症状のことが多く、実際に血便の原因が大腸である方は、比較的がんが進行した状態です。

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2-4 潰瘍性大腸炎

大腸にびらんや潰瘍が形成される原因不明のびまん性の非特異性炎症による疾患です。血便、下痢が1週間以上続く場合、潰瘍性大腸炎の可能性があります。比較的若い方に発症することが多いですが、高齢で発症する方もいらっしゃいます。以前はまれな疾患でしたが、現在患者数は約22万人と推定されており、全国で最も多い特定疾患です。もはやまれな疾患ではなく、日常的に遭遇する疾患です。

2-5 感染性腸炎

「熱がでて、吐き気があり、下痢になってきた。はじめは、水のような下痢で血は混じっていなかったが、途中から血も混じるようになってきた。」このような症状は腸炎による出血の可能性があります。細菌性、ウイルス性どちらの腸炎でも血便が起こることがあります。血が混じると不安になりますが、対症療法、点滴だけで自然に改善することが多いです。

血便

血便の原因となる疾患と臨床的な特徴をまとまると表のようになります。

血便

まとめ

血便の原因として、最も多いものは大腸憩室出血です。受診しようか迷う少量の出血は痔のことが多いです。しかし、大腸がん、潰瘍性大腸炎など早めの受診が望ましい疾患の可能性もあります。血便の原因の特定には大腸内視鏡検査が必要になります。医療機関を受診し、大腸内視鏡検査を受けていただくほうがよいと思います。

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