便潜血検査

現在大腸がん検診として、40歳以上の男女が対象となっております。検査で異常があった場合には精密検査として大腸内視鏡検査を受けるのが大腸がん検診の流れです。今回便潜血検査の精度、大腸がんとの関係について説明します。

1 便潜血検査とは

便潜血検査は糞便に含まれるヘモグロビンの存在を検出することによって、消化管出血の有無を診断する検査法です。現在は免疫便潜血検査が一般的です。便潜血検査の利点は、多くの方が検査を受けることができ、検査自体に偶発症がないことです。

2 便潜血検査の受診率

日本における全てのがんの総罹患数はおよそ100万人です。1日当たり2500-2700人ががんと診断されています。このがんの中で、現在、大腸がんは日本における臓器別のがん罹患者数1位(男女計、男性3位、女性2位)を占めています。1990年代の対策型検診(便潜血検査免疫法)の導入以降、徐々に低下していた年齢調整死亡率が、2010年頃から下げ止まってきております。その要因の一つとしては、検診受診率の低さがあげられています。国民生活基礎調査によると徐々に増加傾向ですが、現在男女とも約40%と半分に満たない状態です。さらに便潜血検査で陽性になった場合の精密検査つまり大腸内視鏡検査の受診率も60-70%と、肺、胃、乳がんなどの受診率とくらべるとかなり低くなっています。痔があるからそのためだと思っている、検査が大変と聞いたことがあるなどが原因となっているようです。

便潜血
便潜血

3 便潜血検査の精度

便潜血陽性となり、医療機関を訪れる方は「自分はがんなのか」と不安になると思いますが、実際に大腸がんと診断されるのは3-5%程度です。では便潜血検査陽性でも気にしなくてよいかというとそうではありません。内視鏡検査の結果、がんではなくても前がん病変のポリープが見つかれば、検査と同時に切除でき、大腸がんの予防になります。50歳以上の方で、何も症状がない方は大腸ポリープが30%、便潜血検査陽性の方はなんと50%の方に大腸ポリープがみつかったと報告されております1)。便秘などの症状がある方と比べても便潜血陽性の方はポリープが発見される方が多いとの報告もあります。

便潜血検査は精度が高いと思われているようですが、まだそうではありません。10mm以上20mm以下の病変では感度38%、21mm以上30mm以下では便潜血検査の陽性率は75%であったと報告されています2)。この報告では、20mmを境に差が認められており、20mm以下の小さい病変だと、進行癌であっても偽陰性(便潜血検査が陰性となる)の可能性が高いと報告されています。進行した大きな病変は便潜血検査で陽性となりますが、病変が小さいと見逃されることも多いということです。

1) Cubiella J, et al. United European Gastroenterol J. 2017 Mar;5(2):255-260

2)光島 徹 等 免疫学的便潜血テスト陰性大腸癌の特徴 胃と腸第28巻第8号823-831

4 精密検査(大腸内視鏡検査)の必要性

近年の新型コロナ感染の影響もあり、検診や、精密検査を控える方がいたと報道されております。便潜血検査陽性の方が、精密検査である大腸内視鏡を「待てる」期間はどのくらいでしょうか。台湾の4万人のデータでは6カ月以上間隔が空くと、大腸がんのリスクと大腸がんのステージが進行するリスクが上がることが示されています3)。精密検査は早めにうけたほうがよいということです。

便潜血検査で大腸内視鏡検査の対象者を絞る方法が、現在の日本の検診の方法です。ある研究では、45-55歳で内視鏡検査歴のないすべての方に一度大腸内視鏡検査を行うという方法が、費用対効果の面から日本における至適大腸がん検診法の有力候補と報告されております4)

症状がない人が受ける検診で発見される大腸がんの6割は早期がんです。一方、血便など、何らかの症状があって医療機関を受診して発見された大腸がんの8割は進行がんともいわれています。大腸がんをはじめとする、検診での発見がんは診断時のステージが早いほど、5年生存率が高いことが明らかになっています。

3) Yi-Chia Lee, et al. Clin Gastroenterol Hepatol. 2019; 17: 1332-1340 e3

4) 関口正宇 等大腸癌死亡率減少のために 日本消化器内視鏡学会雑誌 2017 年 59 巻 6 号 p. 1393-1402

当院の取り組み

当院では、大腸内視鏡検査のハードルをさげるため、積極的に鎮静剤、鎮痛剤を使用しております。下剤を飲むのがつらい方には、下剤を飲まない大腸内視鏡検査も行っております。また、経験豊富な院長が、つらくない内視鏡検査を行うことで、できるかぎり気軽に検査を受けられるように配慮を行っております。便潜血陽性と診断された方は放置せず、早めに内視鏡検査を受けるべきです。便潜血検査は完璧な検査ではありませんので、45歳以上の方は、一度大腸内視鏡検査をおすすめしております。

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