胃炎

「胃カメラをうけたらピロリ菌がいると言われて除菌した。」ピロリ感染による胃炎、萎縮性胃炎に対して除菌治療が適応になって以降、多くの方が除菌治療をうけておられます。胃カメラの後の説明で、「内視鏡でピロリ菌がいるかわかるのですか?」と聞かれることがあります。どんな胃にはピロリ菌がいて、ピロリ菌の感染、治療によってどのような胃には変化があるのでしょうか。胃炎とピロリ感染、胃癌のリスクについて説明します。

1 ピロリ未感染の胃粘膜

これまでにピロリ菌が感染していない胃粘膜であり、組織検査で好中球の浸潤、萎縮、腸上皮化生など胃炎のない粘膜です。代表的な所見が、RAC(regular arrangement of collecting venules)です。RACとは、粘膜上皮下に存在する集合細静脈が規則正しく配列する像のことを指します1)

RACが胃角部~胃体下部小彎でみられることがピロリ未感染の特徴とされている。RACを認めると、95%の確率でピロリ未感染の正常な胃と報告されています。

胃炎

1) 八木一芳 他. Gastroenterol Endosco 42:1977-1987, 2000

ピロリ感染が関係しない胃炎

胃炎はすべてピロリ菌と関連しているわけではなく、ピロリ菌と関連しない胃炎もあります。

表層性胃炎(稜線状発赤)

胃の体部や前庭部大彎にみられる数条の縦走する帯状発赤のことです。送気量を減らすとひだの頂部に一致してみられます。正しい名称は稜線状発赤とされていますが、一般的に表層性胃炎の所見とされています。ピロリがない方にみられることが多い所見で、特に治療の必要はありません。

胃炎
疣状胃炎(たこいぼびらん)

組織学的には、粘膜筋板を越えない浅い粘膜の組織欠損がびらんと定義されています。前庭部、体部に多発する辺縁隆起を伴う胃炎のことで、たこの吸盤に似ていることからこの名がつけられています。前庭部のみにみられるものは、ピロリ菌との関連が少ないとされています。こちらも治療の必要はありません。

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2 ピロリ現感染の胃粘膜

ピロリ感染に伴う内視鏡の所見は以前から様々な所見が示され、分類されてきました。2013年日本消化器内視鏡学会を機に、できるかぎり客観的な分類として、胃炎の京都分類が提唱されています。

ピロリが感染している胃粘膜では、炎症細胞浸潤が認め、慢性的になると、固有胃腺の萎縮や腸上皮化生(腸の上皮のように変化すること)などを認めます。内視鏡の所見では、萎縮、腸上皮化生、びまん性発赤、RACの消失、粘膜腫脹、鳥肌粘膜、過形成性ポリープ、白濁粘液などの所見がみられます。

びまん性発赤:ピロリ感染胃粘膜で、粘膜全域に広がる均等な発赤調の粘膜を認めます。
胃炎
胃炎
粘液白濁

胃炎

萎縮性胃炎:胃粘膜の菲薄化(うすくなること)によって胃体部小彎のひだの消失や、血管透見(血管が透けてみえること)の拡大が認めます。

木村・竹本分類

萎縮境界が胃体部小彎側で噴門を超えない閉鎖型closed type(C1-C3)とそれを超えて大彎側にも進展する開放型open type(O1-O3)に分類されます。

C-1:萎縮が前庭部にとどまるもの

C-2:胃角部から胃体下部に至るもの

C-3:胃体上部までのもの

O-1:萎縮粘膜が噴門周囲にとどまるもの

O-2:O-1とO-3の間であり、萎縮が口側、大彎側への進展している状態。

O-3:全体的に大彎のひだが消失し、萎縮が全体にあるもの。

胃炎萎縮性胃炎(C-1)
胃炎萎縮性胃炎(C-2)
胃炎萎縮性胃炎(C-3)
胃炎萎縮性胃炎(O-1)
胃炎萎縮性胃炎(O-2)
胃炎萎縮性胃炎(O-3)
腸上皮化生

ピロリ感染などにより胃粘膜がびらんと再生を繰り返すことで、腸の粘膜の形態が変化した状態のことです。現感染、ピロリ除菌後でも観察され、長期間にわたって残り、分化型胃癌のハイリスクとされています。この状態ではピロリ菌の生存に適さないため、ピロリ菌が検出できないことも多いです。内視鏡における典型的な腸上皮化生は、前庭部を中心に散在する灰白色扁平隆起です。

鳥肌胃炎

皮膚にみられる鳥肌のように、胃粘膜に均一な顆粒状から結節が密集して認められるリンパ濾胞形成が著明な特殊型の胃炎です。前庭部から胃角部に認められることが多いです。ピロリ菌の初感染によって起こる過剰な免疫応答であり、ピロリ陽性の小児や若年者に発生する胃炎の一形態と見なされています。若年者の胃癌、特に未分化型胃癌の派生母地として注目されています。若い女性においてオッズ比64.2と未分化型癌のリスクが高いと報告されています 2)

2)Kamada T, et al. Dig Endosc 19:180-184, 2007

胃炎

3 ピロリ除菌後の内視鏡所見

ピロリ菌の除菌成功によって胃粘膜の炎症が改善します。組織学的には、炎症細胞浸潤が大きく改善し、長期の経過では萎縮や腸上皮化生の改善も認められます。

除菌成功後の短期間に、内視鏡の所見は、点状発赤、びまん性発赤、粘膜腫脹、ひだの腫大、白濁粘液などは改善することが多いです3)。鳥肌胃炎も除菌により白色斑点を伴う結節が経時的に消失します。

胃炎
胃炎

3) Kato M, et al. Dig Endosc 25:264-273, 2013

胃炎の程度と胃癌リスク

人間ドックで発見された胃癌の検討では、内視鏡的な萎縮の範囲がC-0、C-1では胃癌の頻度は0%、C-2、C3で2.2%、O-1、O-2で4.4%、O-3で10.3%と報告されています。つまり、胃粘膜萎縮の進展とともに胃癌リスクが高くなります4)

4)井上和彦, 他 胃と腸 44:1367-1373, 2009

まとめ

ピロリ菌が感染しているかどうかは胃カメラ(上部消化管内視鏡)検査をすることでわかります。また、萎縮性胃炎の程度、胃癌のリスクまでわかります。いままで胃カメラを受けたことない方、除菌済みの方、除菌が保険適応になる以前に検査した方は、一度検査をおすすめします。

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