高尿酸血症(痛風)

「急に足の親指に痛くなって、寝れなかった。そういえば健診で尿酸値が高めと言われていた。」
実際に痛風発作が起こるまで放置されがちなのが高尿酸血症です。
今回痛風、高尿酸血症の症状や原因、食事、治療についてお伝えします。

痛風の症状

痛風痛風とは血液中の尿酸が関節内で固まって尿酸結晶沈着し、炎症を起こした関節炎のことです。痛風発作がよく起こる部位は、第1中足趾節関節(足の親指の付け根)で、50-70%はこの部位に起こります。
典型的な発作は、夜寝ているときに起こり、赤く腫れ、痛み、熱を持ちます。痛みは風が吹いても痛いと言われるほどの激しい痛みのことがあります。

高尿酸血症とは

性別・年齢を問わず、血液中の尿酸濃度が7.0mg/dl以上の状態です。
自覚症状を認めず、健康診断等、偶然指摘されることが多い疾患です。

痛風の原因

高尿酸血症、尿酸値が高い状態が続いていることが原因になります。
ストレスも一時的な尿酸値の上昇、痛風発作の要因であると言われています。 

痛風発作の治療

  • できるだけ患部の安静を保ち、冷却する
  • 痛みが強い際にNSAIDsを比較的多量に投与し、炎症を沈静化させる
  • 前兆に対して、コルヒチンは予防効果がある

※注意点

痛風発作中に尿酸値降下薬を開始すると発作を増悪させるので、投与しない。尿酸降下薬をすでに内服中の場合はそのまま内服を継続する。間違って逆のことをされる方がおられるので注意が必要です。

高尿酸血症に対する治療(生活習慣の改善)

尿酸値が高い高尿酸血症の状態から尿酸値を下げることで痛風発作の予防に繋がります。

食事

痛風、高尿酸血症の原因としては、内因性のプリン体合成および分解の亢進と、外因性の高プリン食やアルコール、果糖が重要とされています。 食事には食材由来のプリン体が含まれており、細胞分裂が活発な組織に多く含有されています(表1)。
肉や魚など高プリン体食材を多く摂取すると血清尿酸値は上昇し、痛風発作のリスクが高まるため、プリン体の1日の摂取量は400mg程度が推奨されています。

痛風表

飲酒制限

アルコールアルコール摂取量が多いほど痛風の発症リスクが高くなるので、適量を超えないことが大切です。過剰摂取すると肝臓でATPを消費し、内因性プリン体分解を亢進することで血清尿酸値が上昇します。ビールは低濃度ですが、摂取量が多ければ影響が大きい飲料です。1日に日本酒1合、ビールは350ml-500ml、ウイスキーは60ml、ワインは148mlまでは尿酸値を上げないとされています。

運動

運動運動は肥満を是正し、尿酸値を低下させることが期待されます。有酸素運動では尿酸値の低下が期待でき、少なくとも1回10分以上の運動を、1日60分程度行うことが推奨されています。

薬物療法の適応

症状がない方に関しては、合併症、尿酸値により対応が異なります。生活習慣病や虚血性心疾患などの臓器障害の合併がある場合は8.0mg/dl以上から治療開始を考慮し、尿酸値は6.0mg/dl以下を目指します。
血清尿酸値が9.0mg/dl以上の場合は、痛風を発症するリスクが高いため、尿酸降下薬を考慮します。
7.1~8.9mg/dlの場合にはメタボリックシンドロームなどの他の合併症によって総合的に治療を検討します。

高尿酸血症に対する薬物療法

尿酸降下薬を投与し、尿酸値を低下させます。尿酸降下薬は、尿酸生成抑制薬、尿酸排泄促進薬、尿酸分解酵素薬に分かれます。

尿酸生成抑制薬

(アロプリノール:ザイロリックなど、フェブキソスタット:フェブリクなど)キサンチン酸化還元酵素を阻害することで、尿酸生成を抑制します。
アロプリノールは腎機能が低下した方では、用量調整が必要ですが、フェブリクは腎機能が低下した方にも用量調整は不要です。

尿酸排泄促進薬

(ベンズブロマロン:ユリノームなど):尿酸排出を促進することで、尿酸値を下げますが、尿路結石のリスクがあるため、十分な水分の摂取が必要です。

尿酸分解酵素薬

(ラスブリカーゼ:ラスリテックなど):腫瘍細胞の崩壊による多量に放出される尿酸を分解する薬剤で、腫瘍崩壊症候群のときに使用します。
一般的に副作用が少ない尿酸生成抑制薬を使用することが多いです。

まとめ

高尿酸血症は痛風発作の原因となります。痛風発作を繰り返すと痛風結節となり、関節の変形をきたす場合もあります。高尿酸血症も生活習慣が関連するメタボリックシンドロームの一種であり、生活習慣の改善によっても改善が期待できます。尿酸値が高いことを放置せずに医療機関へ受診をおすすめします。

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