大腸ポリープ

内視鏡をしたら大腸ポリープがみつかった方もおられると思います。大腸ポリープにはどのような種類、特徴があるのでしょうか。また、大腸ポリープ切除、大腸がんとの関係についても説明します。

1 大腸ポリープとは

大腸ポリープは、「大腸内腔に向かって限局性に隆起する病変で、組織学的には良悪性は問わない」とされています。要するに出っ張っていればすべてポリープということです。

2 大腸ポリープの種類

2-1 大腸腺腫

大腸粘膜上皮を形成する腺の細胞が異常に増殖した良性の上皮性腫瘍のことです。肉眼型で隆起型、表面型に分類されております。

隆起型は、Ⅰp(有茎性)、Ⅰsp(亜有茎性)、Ⅰs(無茎性)に分類されます。表面型は、Ⅱa(表面隆起型)、Ⅱb(表面平坦型)、Ⅱc(表面陥凹型)に分類されます。日常診療では、隆起型あるいは表面型のⅡaの形態はよく見かけますが、Ⅱb、Ⅱcの形態は比較的頻度が少ないです。

大腸ポリープⅠp

                        大腸ポリープⅠs
大腸ポリープⅡa

2-2 大腸鋸歯状病変

腺管が鋸歯状つまり、顕微鏡でみると、のこぎりの歯のような構造を呈する病変のことです。WHO(世界保健機関)は2010年に鋸歯状ポリープを、①鋸歯状腺腫/ポリープ(SSAP/P)②古典的鋸歯状腺腫(TSA:traditional serrated adenoma )、 ③過形成性ポリープ(HP)の3つに分類しております。以前は大腸がんにならないとされておりましたが、大腸がんの15-30%程度は、このような病変から発生していると考えられるようになりました。それぞれがん化の危険度、発生する部位、形態に違いがあります。

SSA/P

病理学的には、腺管拡張、分枝、腺底部の水平方向の拡張部像のうち、2つ以上の所見が病変全体の10%以上に認められるものとされており、鋸歯像構造に異型を伴うものです。内視鏡所見では、粘液付着を伴う淡黄色~白色調の無茎性(茎のない)の病変です。

古典的鋸歯状腺腫(TSA:traditional serrated adenoma )

左側結腸優位に存在し、隆起が主体ですが、平坦部分を伴っていることもあります。表面構造は、松毬状あるいはさんご状の特徴的所見を示すことが多いです。

過形成性ポリープ

大腸過形成性ポリープは、SSA/P、traditional serrated adenoma(TSA)と並ぶ大腸鋸歯状病変の一種でどの結腸にも発生します。直腸、S状結腸に高頻度に認められ、5mm以下の白色平坦隆起状の典型的な過形成性ポリープは、がん化のリスクはほとんどないとされております。
このため、日本の大腸ポリープガイドライン、欧米のガイドラインにおいて、直腸、S状結腸の径5mm以下の過形成性ポリープは放置してよいとされています。

大腸ポリープ

側方発育型腫瘍(LST:laterally spreading tumor)

側方への腫瘍進展が特徴的な10mm以上の病変のニックネームです。しかし、肉眼形態、発育進展を想起しやすいことより、日本以外の欧米でも用語として定着しています。

大腸ポリープ

LSTは顆粒型(granular type ; LST-G)と非顆粒型(non-granular type ; LST-NG)に分けられています。20mm以上の大きな病変になることもしばしばあり、分割せず一括切除するためには、入院で内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)が必要となります。このような病変に関しては、外来で切除することはできないため、専門病院へ紹介させていただきます。

3 大腸がんの発癌経路

「前がん病変」から、がんへの主な進展経路には、

  1. 腺腫から進展するadenoma-carcinoma sequence
  2. traditional serrated adenoma(TSA)やsessile serrated adenoma/polyp(SSA/P)などの鋸歯状ポリープから進展するserrated pathway

の2つが主に指摘されています。腺腫から進展するadenoma-carcinoma sequenceが6-8割程度と主たる発癌の経路とされています。

大腸ポリープは、国立がんセンター中央病院の報告では、5mm以下のものでは約0.5%、6~9mmのものでは約3.3%、10mm以上のものでは、約28.2%にがんが見つかると報告されています1)。大きくなるにつれて、がんである、ポリープ内にがんを一部含んだ腺腫内癌の確率が上昇していきます。

1)Sakamoto T, et al. Clinicopathological features of colorectal polyps: evaluation the ‘predict, resect and discard’ strategies. Colorectal Dis 15: e295-e300

4 大腸ポリープ切除

腺腫性ポリープと、リンパ節転移の危険性がほとんどない表面の大腸がんについては、内視鏡治療によって治癒が可能です。治療の方法は、病変の形(肉眼型)や大きさにより使い分けられ、ポリペクトミーや、粘膜切除術(EMR)、粘膜下層剥離術(ESD)などの方法があります。このうち、外来で施行可能なのは、ポリペクトミーとEMRで、当院では、切除に際して、後出血や穿孔などの合併症がより少ないとされるコールドポリペクトミー(電流を使わずにポリープを切除する方法)あるいはEMRを行っております。 また、当院では検査同日の日帰りの治療をしており、検査と治療を別々の日にすることはありません。

10mmまでなら、通電せずに日帰りポリープ切除が可能であり、術後出血などの合併症が少ないです。10-20mmまでなら、通電して日帰りポリープ切除が可能ですが、術後出血により注意が必要です。20mmを超える場合は、ポリープの形により、入院した上でポリープ切除を行う必要があります。外来で安全に内視鏡治療を行うために、ポリープの大きさは20mm程度までをひとつの目安としており、個数は5個程度までとしております。

コールドポリペクトミー(cold snare polypectomy)

近年、1cm以下の小さなポリープに対し高周波装置を用いずにポリープを切除するcold snare polypectomy (CSP)という治療が欧米から提唱され、国内でも広まりつつあります。このCSPは、従来のEMRと比較して切除後の潰瘍底が小さく、浅いことが特徴で、出血や穿孔といった合併症がより低いと報告されています2)。当院では、拡大内視鏡を用いて正確な診断をした上で、合併症の少ないコールドポリペクトミーなどの処置を用いて、できるかぎりすべてのポリープの切除を目指しております。

2)中谷 行宏、松田 尚久、斎藤 豊 大腸ポリープ:消化器内視鏡データリファレンスブック2017 1486-1489

※入院が必要な場合

外来での切除が危険と判断される場合、具体的には大きなポリープで一括切除が望ましい場合、粘膜下層に及ぶ深い癌が考えられる場合、抗血栓薬、抗凝固薬を止めることが難しく、出血の可能性が高い場合などでは入院可能な専門施設へ紹介させていただいております。

5 ポリープ切除の合併症と注意事項

ポリープ切除による主な合併症は、出血(術中出血、後出血)と穿孔です。穿孔は入院が必要な大きなポリープに対するEMRやESD治療などに関連した合併症です。当院で外来治療するポリープに関して、問題となるのは後出血です。後出血は、検査治療後に自宅に戻ってから、治療した部位から出血をすることをいい、0.3~1%程度の低い確率ですが、ゼロにはできません。いつか、必ずどなたかに起こります。後出血は、術後安静を保っていたとしても起こりえますが、腹圧をかける運動や動作、アルコールや刺激物の摂取で出血が起こりやすくなります。出血した場合には、ときに入院治療を要することもあります。そのため、ポリープを切除した場合には、これらの合併症予防の観点から、1週間程度、運動・飲酒・遠出の外出を控えるようお願いすることがあります。

6 クリーンコロン(すべての大腸ポリープ切除)

大腸内視鏡検査において、認められたポリープを全て摘除して何も病変のない大腸を「クリーンコロン」と呼んでいます。がんはもちろん、悪性腫瘍になる可能性があるポリープを見つけたら、全て摘除してしまうことで大腸内を「きれい」にして、大腸がんのリスクを減らそうというものです。

クリーンコロンにすることで、大腸がんの罹患率が大幅に(76-90%)減少し、大腸がん死亡率を減少させることが、New England Journal Of Medicineという臨床医学で最も有名な雑誌で発表されています3)

大腸ポリープ

3) S J Winawer et al. Prevention of colorectal cancer by colonoscopic polypectomy. The National Polyp Study Workgroup: N Engl J med. 1993 Dec 30;329(27):1977-81

まとめ

日本のガイドラインでは、5mm以下のポリープに関して、即座に切除せずに、経過観察する選択肢も許容されています。しかし、経過観察していく手間、観察中に増大していけば結局切除が推奨されること、小さなポリープは次の検査で発見できない可能性があること、患者さん自身が小さくてもポリープ切除を希望する場合も多いことなどの理由から、将来的にがん化しうるポリープは小さくても発見次第切除するほうがよいと考えております。

登戸なかたに消化器・糖尿病内科
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