ピロリ菌

「ピロリ菌が胃癌の原因ってテレビでみたことがあるけど、自分も検査したほうがいいのかな。親も胃癌になったことがあるみたい。」ピロリ菌が胃癌の原因になることは、最近はテレビで放映もされ、認知度が上昇しています。ピロリ菌には、どんなリスクがあり、除菌にはどのような効果があるのか今回お伝えします。

1 感染経路

ピロリ菌は強酸の環境である胃粘膜に感染・生息する細菌で、らせん状の形状をしています。ピロリ菌は、ウレアーゼという酵素を作り出すことにより、周囲の酸を中和し、強酸の胃内でも生息することができます。幼年期に衛生環境が良くなかった年代の方に感染している人が多くいます。未感染の小児を追跡した研究で、海外1)、日本2)ともヘリコバクターピロリの主な感染時期は乳幼児期で、それ以後の感染は少ないことが報告されています。日本の研究では、家族間、特に母子と父子の菌株、菌の遺伝子が多いこと、感染小児の両親も陽性であることが多いことが報告されております。つまり、家族にピロリ陽性の方がいないと、子供がピロリ感染に感染する可能性は低いと考えられます。現代では上下水道の整備、生活環境の改善によって、ピロリ菌に感染している方は減少傾向です。

ピロリ菌

1) Rowland M, et al. Gastroenterology 2006 ; 130 : 65-72
2) Konno M, et al. J Clin Microbiol 2005 ; 43 : 2246-2250

2 ピロリ菌と胃炎、胃がん

ヘリコバクターピロリ菌は胃粘膜に感染して胃炎(ヘリコバクター胃炎)を引き起こします。1994年WHOがピロリ菌を胃癌の確実な発癌因子に規定しました。他に癌に至る確実な因子としては、アルコール、喫煙などが有名です。2001年には、日本からピロリ菌陽性者のみから胃癌が発生したことが報告され、医学会では最も有名な医学雑誌であるNEJMに発表されています3)。ピロリ菌によって胃がんが発生することが証明されています。

3) Uemura N, et al: N Engl. J med 345(11)784-789.2001

3 ピロリ菌の除菌治療

これまでピロリ菌の除菌治療は、2000年に胃潰瘍、十二指腸潰瘍、2010年に胃MALTリンパ腫、特発性血小板減少性紫斑病、早期胃癌に対する内視鏡治療後胃に対して保険適応となりました。しかし、ヘリコバクターピロリ感染からヘリコバクター胃炎、胃がんへの進行を抑制するため、2013年にヘリコバクターピロリ感染者全員に除菌治療が可能となりました。

4 胃がんの99%はピロリ菌が原因

ピロリ菌は胃がんの原因になりますが、どの程度影響があるのでしょうか。日本におけるヘリコバクターピロリ未感染者に比べた現感染の胃がんリスクは15倍以上、海外では20倍以上とされています。実際どれくらいピロリ菌が胃癌の原因なのか調べた報告がいくつか報告されています。2011、2012年日本ではピロリ菌が関連しない胃癌はわずか0.3-0.9%と報告されています4),5)

今後ピロリ菌の感染率が低下することで、相対的にはピロリ陰性の胃癌の割合が増加します。しかし、現状では、99%以上の胃癌の原因はピロリ菌であり、単純な計算ではピロリ感染の方はピロリ陰性の方と比べ100倍以上胃がんになりやすいことになります。

また、ピロリ陰性の胃がんは進行が遅いとも報告されています。

ピロリ菌

4) Ono, Kato et al. digestion 86:59-65 1:415-419.2011
5) Matsuo, Ito helicobacter 1:415-419.2011

5 ピロリ菌除菌による胃がん予防

ピロリ菌を除菌することで胃がんは予防できるのでしょうか。早期胃癌に対して内視鏡治療を行った後、新たに胃癌ができるか比較したRCT(無作為ランダム化比較試験)の結果、ピロリ菌を除菌することで胃癌を予防できると報告されています6),7)4)で1/3程度に減少、5)で半分に減少すると報告されています。 消化性潰瘍を対象にした研究でも、除菌することで胃がんが予防されることが報告されております8)

2014年には、健常者つまりヘリコバクターピロリ胃炎のみの方に除菌治療を行った場合でも胃がんが予防できること(40%の減少)が報告されています9)。除菌で確実に胃がんは減少しますが、ゼロになるわけではなく、除菌後も定期的な胃カメラ検査が必要です。

6) Fukase K, Kato M, et al. Lancet. 372 (9636): 392-7, 2008

7) II Ju Choi et al. N Engl J Med 378:1085-95, 2018

8) Take S, Mizuno M, et al. Am J Gastroenterol 100: 1037-1042, 2005

9) Alexander C Ford, et al. BMJ 2014; 348

6 当院のピロリ菌検査

当院では迅速ウレアーゼ試験、組織検鏡法、尿素呼気検査、血液による抗ピロリ菌抗体検査、便中ピロリ菌抗原検査などすべてのピロリ菌検査の施行と評価が可能です。そのなかで、最も除菌成功判定に適しているのは尿素呼気試験です。当院は、「POcone」という検査機器を導入しており、院内で検査を行い、終了後約2分程度で結果がわかります。従来の検査センターに送って1週間後に結果がわかるものと違い、当日検査結果の説明が可能です。

7 ピロリ菌の除菌治療

1次除菌治療:プロトンポンプ阻害薬(PPI)もしくはカリウムイオン結合型アシッドブロッカー(P-CAB)+アモキシシリン+クラリスロマイシンの3種類の薬剤を7日間投与する3剤併用療法です。

2次除菌治療:プロトンポンプ阻害薬(PPI)もしくはカリウムイオン結合型アシッドブロッカー(P-CAB)+アモキシシリン+メトロニダゾールの3種類の薬剤を7日間投与する3剤併用療法です。

ボノプラザン(P-CAB)が1次除菌さらには、2次除菌成功率は98%と報告されており、現在の除菌はボノプラザンを使用したものが使われています。

8 除菌の副作用

下痢、軟便:約10-20%

味覚異常、舌炎、口内炎:5-15%

皮疹:2-5% 腹痛、肝障害、めまいなどです。

下痢に関しては、整腸剤を併用すると、予防効果があると報告されています。

大規模な市販後の結果では、副作用は4.4%、治療中止となるような副作用は1.3%と報告されています。

登戸なかたに消化器・糖尿病内科
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