潰瘍性大腸炎の原因
潰瘍性大腸炎の原因はいまのところわかっていません。
腸内細菌や、遺伝、免疫の異常、食生活の欧米化などの関与が考えられています。
潰瘍性大腸炎の患者数と重症度
もともと潰瘍性大腸炎は国の指定難病とされほぼ全例登録されておりました。しかし、近年は難病指定の審査が厳しくなり、軽症の方は認定されづらくなりました。
潰瘍性大腸炎の正確な患者数は不明ですが、確実に増加傾向で、現在およそ22万人と推定されています。軽症の方が多く、平成17年ごろで66.1%、現在はおそらく70-80%程度と思われます。(グラフ参照)
※厚生労働省HPより改変し作成
潰瘍性大腸炎と食事
脂肪分や脂分の多い食事、香辛料を避けたほうがよいとの記載もみられますが、食事制限は必要ないというデータが一般的です。
あくまで悪化を予防する効果がないだけで、暴飲、暴食をしてもよいわけではないので、バランスのよい食事を心がけてください。
潰瘍性大腸炎の治療
5-ASA製剤(ペンタサ®、アサコール®、リアルダ®など)という内服薬を使用することが多いです。特徴は、量を増やすと効果が増すが、副作用は増えないことです。長く使用することで大腸癌の予防効果もあります。さらに中等症、重症の方も使用する治療の基本となる薬剤です。
直腸に炎症が残る場合には、5ASA製剤やステロイドの座薬や注腸剤を併用する場合があります。
中等症以上にはステロイドの内服薬や、血球除去・吸着療法や生物学的製剤、免疫抑制剤などが必要となる方がいらっしゃいます。
緊急性が高い場合には、高度医療機関に紹介させていただく場合がございます。
潰瘍性大腸炎は、下痢、腹痛、血便などの症状によって生活の質が低下します。重症になると、大腸をすべて切除する手術が必要となることがあります。
まずは下痢、血便などの症状を改善させることを目標とします。さらに、大腸粘膜の炎症も治まった「粘膜治癒」に至ることで、再燃、発癌が抑えられると期待されています。当院でも「粘膜治癒」を目標として治療に取り組んでおります。